電子契約・電子署名ってなに?テレワーク推進で改めて注目!弁護士が分かりやすく解説

特集・コラム

今回は、コロナウイルスの影響によるテレワーク・リモートワークが推進される状況で、改めて注目されている「電子契約」「電子署名」についてお話ししたいと思います。

最近、ビジネスシーンでは耳にすることが増えてきました!
ただ、印鑑を直接押さないと契約が無効になる気がして心配なんですよね。。。

その気持ちは察します(笑)
日本では特に印鑑という文化が浸透しているので、電子化を懸念されるのはもっともだと思います。

しかし、働き方改革から始まったテレワークやリモートワークが推進されている世の中で、契約書を作成するために出社が必要で、完全なテレワークに切り替えられないという問題が生じているのも事実です。
その解決方法として注目されているのが「電子契約」と呼ばれるものなんですよ。

なるほど。。
時代や働き方に合わせて、仕事の仕方や方法を模索していく必要があるんですね。

そうですね。
そこで、今回は、テレワークにおける契約書という観点から、契約書の電子化というテーマについてお話ししたいと思います。

電子契約とは?

まず、「電子契約」とは何か?という問題ですが、これは法律上の用語ではないため、決められた定義がありません。

多くの場合、「電子署名及び認証業務に関する法律」(電子署名法)の第2条第1項に規定された「電子署名」(及びタイムスタンプ)が付された契約書のデータや、あるいはそのようなデータを介して契約を締結する方法といった意味で用いられます。
場合によっては「何らかのデジタルな方法で締結された契約」というような広い範囲を含む言葉として使われることもあります。

この記事では、前者を「狭義の電子契約」、後者を「電子契約」と呼ぶことにしますが、法律業界では万人に通じる共通理解ではないので注意してください。

電子署名とは?

次に、電子契約とセットで用いられる用語に「電子署名」という言葉があります。
これは、電子署名法第2条第1項が定義しており、簡単にいえば、

「電子的なデジタルデータに行われる措置の内、①本人性、②非改ざん性の2点を確認可能なもの」

を指します。

取り敢えずは、押印に代わる電子的な本人識別機能だと思って頂いて差支えありません。

上記の本人性と非改ざん性は、公開暗号鍵方式(これは後述します。)と呼ばれる技術により担保されるのが主流ですが、法律の文言上、公開鍵暗号方式に限定されている訳ではありません
そのため、公開鍵暗号方式以外の方法によって上記2点が担保されている場合でも電子署名に該当します。

電子署名が付されたデータは、名義人の意思に基づいて作成されたと推定されますので(電子署名法第3条)、訴訟等においては、名義人が押印した契約書と同等の効力を有することになります。

電子署名 = デジタル署名?

電子署名の類似用語として「デジタル署名」という言葉があります。

しかし、法律上定義された言葉ではないので、何を指しているかは人によって異なります。
電子署名と同様の意味で用いられることが多いと思いますが、電子署名の内「公開鍵暗号方式を利用したもの」のみを指してデジタル署名と呼ばれることもあります。
電子署名は公開鍵暗号方式に限定されている訳ではないので、ここでは公開鍵暗号方式を利用した電子署名をデジタル署名と呼ぶことにします。

じゃあデジタルサイン・電子サインは?

また「デジタルサイン」「電子サイン」という言葉が使われることもあります。

しかし、これらは電子署名・デジタル署名とは明らかに異なった意味で使われることが多いです。

申込みや宅配便の受領のサインとして、タブレットやスマートフォンの画面に指やタッチペンでサインすることを電子サイン:デジタルサインと呼ぶことが多いと思います。

いずれにせよ、先程説明した電子契約も含め、これらの用語の意味内容や各用語の境目は人によって変わります。
まだ通称などが統一された用語ではないので、それぞれがどういう意図や何を指して話をしているか気を付けないといけないですね。

契約書と印鑑

さて、言うまでもありませんが、契約書とは「相手方との合意内容を 証拠に残すこと」を目的に作成されます。
しかし、相手方との合意内容を証拠(記録)に残すためだけであれば、押印は必要ありません。

法的には、押印がなくても契約書は有効です。

それにもかかわらず、ほとんどの方は、契約書に記載された自分の名前の横に押印しています。

皆さんはなぜ契約書に押印するのでしょうか?

この点を正確に説明すると意外と複雑なので詳細は省略しますが、一言で言うと、「その人がその契約書を作成したこと」の証拠として押印が求められるのです。
(細かい話を知りたい方は、「二段の推定」という言葉で検索してみてください。ありがたいことに、多くの方が詳細な説明をしてくれています。)。

裁判になったケースを例に考えてみましょう。

AさんとBさんとの間で紛争が生じていたとします。
Aさんは証拠としてある契約書を提出しました。

ここで、AさんとBさんの両方の印鑑が押してあれば、余程の事情がない限り、裁判所はその契約書がAさんとBさんが作成したと認めてくれます。
そして、その結果としてAさんとBさんがその契約書に記載された内容で合意したと認めてくれます。

これに対し、Aさんの印鑑しか押されていなかった場合や、どちらの印鑑も押されていなかった場合で、

且つBさんが、
「自分はその契約書を作成していない、Aさんが勝手に作ったんだ」

と主張したようなケースではどうなるでしょうか?

裁判官からすると、Bさんの押印がない以上は、Bさんが作成した可能性がない訳ではないですが、Aさんが一人で勝手に作成した可能性も否定できません。

要するに、どちらとも判断できないことになります。

こうなると、Aさんとしては、「その契約書をBさんが作成したこと」を改めて立証しなければなりません。
もっとも、「Bさんがその契約書を作成したことの立証」は相当難しく、結果的に「Bさんとその内容で合意したこと」を立証するのとほとんど変わらないような状況になってしまいます。
そうなると、契約書を作成した意味がなく、本末転倒となります。

このように、相手方(上記の例で言えばBさん)が、きちんとその意思に基づいてその契約書を作成したことの証として、押印が必要となるのです。

電子契約と電子署名について良く分かりました!
契約書に押印する意味も理解できました。

ご理解いただけて何よりです。
契約書を電子化するというのは、これを踏まえた上で考えていく必要があります。
具体的な電子化の方法については、次回の記事でお話ししていきます。

とても気になります!
次回もお楽しみに~。

続きの記事「電子契約・電子署名って法律的には有効なの?弁護士が分かりやすく解説」はこちら