批判と誹謗中傷はどう違うの?SNSで誹謗中傷となるボーダーラインって?

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スマートフォンとアプリのイメージ

最近SNS上の誹謗中傷がよく問題になっていますね。

そうですね。今年の5月頃に、プロレスラーの女性がSNSでの誹謗中傷を原因として自殺したというニュースが流れました。
それ以降、SNS上での誹謗中傷への対応について本格的に検討されるようになってきています。

SNSで顔が見えないからといって言いたいことを好きに言って誰かを傷つけるのは良くないなと思います。

誰かを誹謗中傷すると場合によっては、相手方に対する損害賠償義務が生じたり、侮辱・名誉棄損といった刑法上の犯罪にあたったりすることもあります。

犯罪になる場合もあるんですね!やっぱり十分に気をつけないといけませんね。

今回は、SNS上の誹謗中傷について「誹謗中傷とは何か」「誹謗中傷をした側はどのような責任を負うのか」をご説明します。

「誹謗中傷」とは?

スマートフォンを片手に悩む女性

現在、SNS上の誹謗中傷は良くないという報道等がされていますが、そもそも「誹謗中傷」とは一体なんなのでしょうか?どのような発言が誹謗中傷に当たるのでしょうか?

これは、実は非常に難しい問題です。なぜなら法律上、誹謗中傷という言葉が定義されていないからです。

定義されれば問題が解決するというわけではありませんが、少なくとも法律用語として定義されていない以上、日常用語としての意味や上述のような誹謗中傷が良くないとされる理由からその範囲を考えるしかありません。

手元の辞書をひいてみると、誹謗とは「他人を悪く言うこと。そしること。」とされており、中傷は「根拠のないことを言いふらして、他人の名誉を傷つけること。」とされています(いずれもデジタル大辞泉)。

また、誹謗中傷がNGとされるのは言うまでもなく、相手を傷つけ不快にさせ場合によってはその命を奪うことにも繋がりかねないからです。

このような言葉の意味やNGとされる根拠からすれば、誹謗中傷とは「相手が傷つき、不快に思うような悪口やデマを流すこと」と考えることができます。

誹謗中傷とほかの表現との区別

もっとも、言われた相手が不快に感じれば全てが誹謗中傷として違法になるわけではありません。
たとえば、議論の中で相手から反論されれば誰でも不愉快なものです。特に日本人は、仕事や学術的な議論の過程・結果を引きずりやすいといわれおり、実際に正当な反論や批判であっても、気分が害されたとして誹謗中傷と同様の受け止め方をする方が多くいることでしょう。

しかし、正当な議論が誹謗中傷として違法になってしまったら、私たちは他人に意見を言うこともできなくなります。そのため、誹謗中傷の範囲は冷静に見極める必要があり、言われた相手が不快に感じるようなネガティブな発信であっても、許される適法なものと、違法な誹謗中傷とにきちんと分類することが必要でしょう。

ネガティブな発信はおおまかに

『 ①反論・②批判・③単なる感想・④誹謗中傷 』

という段階に分けられます。

例えば、タレントのAさんがテレビ番組で「死刑制度は廃止すべき」と発言したとします。この発言に対し、「これこれこういう事情もあるから、死刑制度は維持すべきだ」というのは ①の反論ですね。

また、「Aさんはタレントとして老若男女に広い影響力もあるのだから、根拠も示さずに全国番組で口にするのは軽率ではないか」というのであれば ②の批判です。

「Aさんが死刑制度反対だったなんてがっかりしました、Aさんが出演してる番組は今後見ません」というのであれば ③の感想です。

これらの発信は、Aさんからすれば、いずも不愉快であるかもしれません。ただ、法的に特に問題がないことは、考えるまでもなく、感覚的に分かることでしょう。

しかしここで、「Aはなんて馬鹿なんだ、この世から消えてほしい」などと言えば、その人の感想であることは間違いないのですが ③の適法な感想とはかけ離れています。
また、「これだから毛が薄くなった奴は信用できない」などは仮にAさんの頭髪が薄かったとしても
今回の発言とはまったく無関係ですから人格攻撃そのものととらえられるでしょう。
さらに、まったく根拠もなく「実はAは、共演者のBと不倫関係にあるから信用できない」などは、まさしく「中傷」そのもので、これもNGです。

このように、Aさんの発言とは無関係に Aさんの人格を攻撃したり、虚偽の内容を発信したりするのは ④の誹謗中傷になります。

ただ、こういった線引きは、現実には難しいものです。
たとえば、「お前は無能野郎だ、さっさと辞めてしまえ。」と言えば ④の誹謗中傷にあたります。
しかし、「残念ながら、あなたは仕事ができないですね。この仕事にあまり向いてないのではないですか?」というのであれば、似たようなことを丁寧な言葉で言っているだけなのですが ④の誹謗中傷に当たるとまでは考えにくいです。

このように、①~③と④との線引きは状況や文脈によっても変わります。
そのため、明確な線引きはできず、最終的には、その人なりの社会常識で判断するしかありません。

誹謗中傷するとどうなる?損害賠償?

紙幣の上にジャッジガベル

では、SNS上で他人を誹謗中傷した場合、どのような責任を負うことになるのでしょうか?大きく分けると、刑事上の責任と民事上の責任があります。

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