コロナ禍、上がっている不動産市場と下がっている不動産市場。今後市場はどう変化するか?

投資

新型コロナウイルスは、各方面に大きな影響がでていますね。

不動産投資はどのような影響を受けているのでしょうか?

今回は、新型コロナウイルスの感染拡大において、不動産投資にどのような影響があるのか、現状について詳しくご説明します。

アフターコロナにおける不動産投資の現状

両手にグラフが重なっているビルの模型を持つ

新型コロナウイルス感染の拡大に伴い、不動産投資においても変化が見られます。

新型コロナウイルスの感染予防のために在宅ワークを取り入れる企業が増加し、「オフィスを構える必要性」が問われ始めました。そのため、オフィス物件への投資は控える動きが出ています。

その一方で、需要が増加しているのが物流に関する施設です。「巣ごもり消費」といったワードが各メディアで散見されるように、自宅から外出することなくネット通販で買い物をする方が増加しています。

それに伴い、倉庫などを増築する必要性が出てきたことで、物流施設に不動産投資家の注目が集まっています。

このように、アフターコロナの不動産事情は、これまでの流れとは一線を画すものになっています。

では不動産投資として身近なマンションや戸建て、住居用賃貸、収益物件はどのような動向を見せているのでしょうか?

マンション、戸建ての売買状況

不動産投資として真っ先にイメージするのがマンションや戸建ての売買ですが、新型コロナウィルスの感染拡大でどのような状況になっているのかご紹介します。

「公益法人 東日本不動産流通機構」が発表している「Market Watch サマリーレポート 2020年4~6月期」によると、首都圏における中古マンションや中古戸建ての成約件数は前年同期比において、中古マンションで▲33.6%、中古戸建で▲22.1%と大幅に減少しています。

しかし、成約価格を見てみると、中古マンションでは横ばい、中古戸建では▲10%にとどまっています。

2020年6月以降の状況については、「公益財団法人 不動産流通推進センター 不動産流通センター研究所」の「指定流通機構の物件動向(令和2年7月)によると、中古マンション・中古戸建ともに前年同月と同程度の成約件数にまで回復しています。

このことから、新型コロナウイルスの感染拡大の最中であっても、不動産投資においては現状それほど大きな影響を受けていないということができます。

その理由として、新築マンションは土地購入費用、建築費や人件費などをすでに投資しているため、価格の引き下げが容易にできるわけではないという点が挙げられます。また、中古マンションについては近年の「リノベーションブーム」に乗ってニーズが増加しており、それに伴って中古マンション価格も上昇傾向にあります。

新型コロナウイルス感染拡大といった世界的な惨状ではあっても、生活に欠かせない衣食住のうちの「住」については、大打撃を受けずに推移していくことが予想されます。

戸建てについては、ビフォーコロナとアフターコロナとではそれほど大きな変化はないと言えます。そもそも戸建ての購入は、家庭ごとのライフプランで決められるものだからです。

一般的に、「子供の進学に合わせて」「老後の準備のために」といったタイミングで戸建てを検討する方が多く、コロナ期に戸建てを購入した方はその前から住宅についての相談をしていたケースが多いです。

さらに、新型コロナウイルスの感染を予防するために、東京を離れ地方で戸建てを購入したいという方も増加していることから、マンション同様戸建てについても今後も大きな打撃はないと見込まれます。

居住用賃貸の状況

「(公社)全国宅地建物取引業協会連合会 不動産総合研究所」が発表した「不動産市場動向データ集」では、首都圏の居住用賃貸物件の成約件数は一時期減少しましたが、徐々に改善されつつあります。

具体的には、2020年3月の成約件数は前年同月より▲20%、4月は▲35%でしたが、6月になると▲11.3%にまで回復しています。また、同データ中の東京23区の成約賃料の推移を見てみると、2020年4~6月に2%程減少しましたが、大きく減少しているという状況ではないと言えます。

このような状況を踏まえて、居住用賃貸においても不動産投資家の積極性は衰えを見せていません。宿泊施設やオフィスといった不動産からの打撃を回避すべく、居住用不動産の賃貸に乗り換える投資家も少なくないのが理由のひとつです。

しかし、宿泊施設やオフィスに比較すると収益性の面で劣るため、十分な自己資金がある方や追加担保を差し出す余力のある方でなければ、金融機関からの融資が得られないという事情もあります。

そうは言っても、今後のアフターコロナで、新築物件の需要が高まれば、建築業や住宅施設関係のメーカーの活性化にもつながるため、先行投資ととらえる不動産投資家がいるのも事実です。

新型コロナウイルスの感染拡大は不動産投資家にとってピンチではありますが、それをチャンスに変えるべく慎重に状況を見る能力が求められています。

収益物件の状況

新型コロナウイルスの感染拡大以前にも、リーマンショックなど世界的な経済危機が起きたことがありましたが、その際に収益物件の家賃が大幅に変動することはありませんでした。なかでも単身者向けの賃貸物件に関しては安定した家賃収入が得られていたという事実があり、今回のアフターコロナにおいても同様のことが言えます。

そのため、値上がり益で収益を出すのではなく、長期投資による家賃収入を目指す不動産投資家にとっては、単身者向けの収益物件が今後の狙い目のひとつです。

しかし、大規模な経済危機の際には、収入が減少し家賃が支払えなくなる人が多くなり、収益物件のオーナーに影響がでることも懸念されます。その心配を解消すべく、国からは「特別定額給付金」「住居確保給付金」といった支援制度が設けられたほか、従来からの「緊急小口資金」「総合支援資金」といった制度も活用されています。

このような点を考慮すると、やはり収益物件は今後も投資価値のあるものと判断できます。

コロナ禍における不動産投資ローンの融資状況

家とお金を天秤にかける

先の見えないコロナ禍で、不動産投資ローンがどのように変化していくのかは、不動産投資家の誰しもが知りたいことでしょう。

ここでは、アパートローンや不動産投資ローン、住宅ローンの融資状況について解説します。

アパートローンと不動産投資ローンの融資状況

コロナ禍におけるアパートローンと不動産投資ローンの融資状況として、次の4つの特徴が挙げられます。

1.現状では融資条件に大きな変動はない

一般財団法人「日本不動産研究所」が2020年5月に公表した「第42回 不動産投資家調査」があります。

不動産投資家が新型コロナウイルスの感染拡大にともない「ネガティブな変化があった」と回答した、上位3つの項目は次の通りです。

  • 歩合賃料の減少等、運用物件に係る収入源がみられた:246ポイント
  • 予定されていた売買取引を見合わせる動きがあった:229ポイント
  • エクイティ投資家の投資基準が厳しくなった:81ポイント

一方、「レンダーの貸出条件が厳しくなった」という回答はわずか34ポイントで、他項目と比較して、それほどネガティブな要因にはなっていないことがわかります。

これより、現時点においては金融機関からの融資審査が厳しくなったと感じている不動産投資家は少ないといえます。

2.金融機関は緊急融資対策で不動産融資に対応しきれていない

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、多くの企業が経営難に陥り、また生活に困窮する個人も増加したことから、金融機関では緊急融資対策に追われています。

また、コロナ禍では勤務形態を在宅勤務に変更するケースが増加していますが、金融機関でも在宅勤務を導入し、出社しているスタッフが通常よりも少数になっているところもあります。

このように、融資を受けたい企業は増加する一方で、対応できるスタッフが減少している中で、金融機関はより緊急性の高い融資を優先的に対応せざるを得ないため、新規の不動産投資に対する相談は、後回しにされてしまうことが考えられます。

3.ビフォーコロナより融資審査に時間がかかっている

前項でも述べた通り、緊急性の高い融資案件を優先的に対応していること、また、対応できるスタッフの人数が制限されていることなどから、通常時よりも新規不動産融資の融資審査に時間がかかっています。

なかには、新規不動産融資の相談をストップしている金融機関もありますので、担当スタッフに現状の確認をする必要があります。

4.定期的な情報収集と金融機関とのコミュニケーションが大事

このように、新規不動産融資に対する対応には満足できないと感じる面がありますが、融資条件が厳しくなっているという状況は顕著には見られていません。

そのため、金融機関が不動産融資に対して、今までのように対応してくれるようになるまでただ待つのではなく、不動産投資への積極性を保ち続けることが大切です。

具体的には、「良い物件を常に探しておく」「資産を準備してあることを金融機関にアピールする」といったことを心がけましょう。

コロナ禍がある程度収まり、不動産投資に向き合える体制が整った際に、金融機関から真っ先に話が来る可能性があります。

いずれにしても、不動産融資は一朝一夕でできるものではありませんので、今後に備えて準備をしておきましょう。

住宅ローンの融資状況

住宅ローンの融資状況については、「フラット35」の金利動向を確認します。

<2020年10月の金利>

返済期間15年~20年21年~35年
金利年1.210%~年1.970%年1.300%~年2.060%
最頻金利年1.210%年1.300%

2020年7月から9月にかけて3か月連続して上昇傾向にあった金利ですが、10月になって4か月ぶりに引き下げとなりました。

3か月上昇していたとはいえ、その増加は微々たるものでしたので、住宅ローン利用者にとっては依然有利な状況が続いているといえます。

頭金なしで借り入れる人が増加中

近年、頭金なしで住宅ローンを借り入れする人が増加しています。

頭金なしでの融資は、金融機関にとってリスクしかないように思われますが、審査で借入者の収入を細かく確認するため、全額貸し倒れといった事態は起きにくいと判断されます。

また、住宅ローンは住宅を担保として借入する性質のものなので、借入者も自宅を失わずに済むように返済を続けていくことが見込まれることも、理由のひとつとして挙げられます。

コロナ禍で収入が減少した人も多くいることから、今後も頭金なしで借入れをする人が増加すると見込まれます。

ただし「返済負担率」が上昇していることに注意

住宅ローン利用者は、年々返済負担率が上昇していることに注意しなくてはなりません。

返済負担率とは、「年収に占める年間返済額の割合」のことをいい、住宅ローンの審査で重要視される項目のひとつです。返済負担率は金融機関によって異なりますが、一般的に30%~35%が基準となっています。

住宅金融支援機構発表のデータによると、2013年以降全国的に返済負担率が30%を超える利用者が増加しています。返済負担率が大きくなるほど生活費における割合が大きくなるため、返済が難しくなることが考えられます。

まとめ

新型コロナウイルスの感染拡大の影響は多方面に出ていますが、不動産投資においても、これまでの投資先であったオフィスなどから物流施設への投資に注目が集まるなどの変化が見られます。

不動産投資家の投資意欲も健在で、良い投資先があればこれまで同様の積極性をもって投資されることが予想されます。

しかし、不安定な情勢であることには変わりがないため、今後の行く末に敏感にアンテナを張り巡らす必要があります。

それと同時に、金融機関とのコミュニケーションも取りつつ、これからの投資のための土台をしっかりと築いておきましょう。


このエントリーをはてなブックマークに追加