不動産投資10のポイント!一棟アパート投資 vs. 区分マンション投資
投資

リス男くんは、一棟投資と区分投資の違いって分かりますか?
えっ、よく分かりません。どちらも同じ不動産投資じゃないんですか?
同じ不動産投資でも、投資の方法や物件の種類によって購入価格や利回り、リスクが違うんですよ。
なんだか難しそうですね…。
今回は、一棟投資と区分投資の比較をしながら
それぞれのメリットとデメリットを探っていきましょう。
この記事の目次
押さえておこう、投資用物件の種類とその違い

不動産投資と一口にいっても、初期費用や利回り、リスクの種類や程度などが異なります。まずは基礎知識として、一棟投資・区分投資、マンション・アパートの違いを押さえておきましょう。
一棟投資と区分投資の違い
不動産投資は大まかに分けると一棟投資と区分投資の2種類があります。
一棟投資はアパートやマンションといった集合住宅を一棟全て購入する投資法です。
区分投資はマンションの一室を購入する投資法です。
マンションとアパートの違い
何気なく使っている ”マンション” ”アパート” という言葉ですが、どのような違いがあるかをご存じでしょうか。
なんとなく「マンションは大きくて高級」「アパートは小さくてカジュアル」と捉えている方が多いかもしれません。
それはあながち間違いではありません。実は、マンションとアパートを区別する明確な定義はなく、物件を扱うオーナーや不動産会社により、判断基準は異なるのです。
不動産業界では「鉄筋コンクリート造で3階建て以上の建物がマンション」「木造もしくは軽量鉄骨造で多くは2階建て以下の建物がアパート」と定められていることが多いようですが、企業によって定義が少しずつ異なります。
今回の記事では、マンションとアパートの違いは上記の通りとしてご説明していきます。
一棟アパート投資と区分マンション投資、どっちが良い?

「一棟アパート投資」と「区分マンション投資」は同じ不動産投資とはいってもそれぞれに異なるメリット、デメリットがあります。
性質の異なる2種類の投資法を比較し、より理想的な投資はどちらかという観点から不動産投資についてご説明します。
1.購入の容易さ
一棟アパートであれば数千万円~数億円、区分マンションであれば数百万円~数億円の物件もあり価格帯はさまざまです。
一般的に、区分投資は、マンションの一室を購入するためアパートを一棟購入するより物件の価格は安い傾向にあり、
一棟投資は、アパートを一棟購入するためマンションの一室を購入するよりは高くなる傾向です。
ただし、立地や築年数、間取り、戸数など沢山の条件により異なりますので、
マンション一室の方が、アパートを一棟を購入するより高くなる場合もあります。
さらに、印紙代、不動産の登記費用や不動産取得税などがかかり、金額は物件の価格に比例します。
また、区分マンションは取り扱っている不動産会社や物件数が多いというメリットがあります。
2.利回り
利回りには、表面利回りと実質利回りと2種類の利回りがあります。
表面利回りとは、物件の購入価格に対する家賃収入(利益)の割合のことをいいます。
実質利回りとは、同じく物件の購入価格に対する家賃収入から運営などにかかった費用を控除した利益の割合のことをいいます。
物件の購入には登記費用や不動産所得税などの費用がかかるので注意しましょう。
利回りは、立地や築年数に加え、物件の構造や維持管理の状態などによってさまざまです。一棟投資と区分投資のどちらが有利であるとは一概に言えないでしょう。
3.家賃収入
当然のことながら、戸数の多い一棟アパート投資のほうが区分マンション投資よりも多額の家賃収入を得ることができます。
区分マンション投資で利益を上げたい場合は買い増しを行う必要があります。
区分マンションを複数所有することはリスク分散という観点から考えるとメリットにもなります。
4.立地
アパートとマンションを比較すると、アパートは比較的郊外や地方に、マンションは都心や駅の近くなど好立地に建てられている傾向にあります。
好立地の物件は、空室リスクが低く、家賃や資産価値が下がりにくい傾向にあるため、安定性を求める人には適しています。
しかし、最近では、都市開発が行われ物件の資産価値が大きく上がるといったこともありますので、
多少リスクはありますが、そのエリアや物件の行く先を読める分析力のある人にとっては非常に魅力的な物件となるのではないでしょうか。
5.空室リスク
駅近で街が住みやすく整備されている場所には自然と人が集まります。
そのため需要が高く、空室リスクは低くなる傾向にあります。
しかし、「一棟アパート投資」と「区分マンション投資」という視点で見ると、
アパート一棟投資のほうが空室リスクは低くなります。その理由は、部屋数の違いです。
例えば、10室あるアパートでは、空室が 3 室あったとしても 70% の家賃収入(利益)は確保できます。
しかし、区分マンション投資では空室の場合、利益は 0 となります。
維持管理費やローン返済を考えると大きな赤字になってしまうこともあります。
まとめると、立地でいえばマンションのほうが、部屋数でいえばアパートのほうが空室リスクは低くなります。
その両方のメリットを合わせた対策として、区分マンションを複数購入するのも良いでしょう。
6.災害リスク
火事や地震といった災害は資産価値を大きく下げるだけではなく、経営自体を続行できなくなるといった深刻な事態を引き起こす要因になります。
特に一棟アパート投資の場合は、一棟全てが被害を受けた場合、損害は絶大なものになります。
対策の一つとして、区分マンションを複数のエリアに分けて購入し、リスクを分散させる方法があります。
また、構造の違いも災害リスクを増減させる要因になります。
今回の定義でいいますと、「マンションは鉄筋コンクリート」「アパートは木造」の建物です。
木造アパートは燃えやすく、火災のリスクが大きくなります。火災保険に入るなどしてリスクに備えましょう。
7.法定耐用年数
耐用年数とは建物(固定資産)が法的に利用できるとされる期間のことをいいます。
建物の用途・構造などによって法律で定められた耐用年数を法定耐用年数といい減価償却にも関係します。
減価償却についての説明はここでは割愛させていただきます。
法定耐用年数は、新築物件の場合、鉄筋コンクリートは47年、木造は22年と定められています。
中古物件の場合は、残りの耐用年数を確認する必要があります。
耐用年数が不明の場合は、簡便法という簡易な計算方法を用いる場合もあります。
法定耐用年数は融資期間の判断基準となる場合もあり、法定耐用年数によっては融資期間が短くなってしまい
毎月の返済金額が大きくなってしまう場合もあります。
ただし、審査基準は金融機関によって異なりますので法定耐用年数が必ず影響するとは言い切れません。
また、法定耐用年数が短いということは築年数が古いということです。
大規模修繕を行わなければならない時期が早くくる場合もあり、追加で予期せぬ大きな費用がかかる可能性があります。
8.管理
区分マンション投資の場合、管理をするのは専有部分(部屋)のみで、エントランスや廊下、エレベーターといった共有部分の管理は管理会社が行います。
それに対して一棟アパート投資はご自身でアパート全体の管理を行うことになりますが、
修繕やリノベーションのタイミング、費用や方法を自由に決めることができます。
区分マンション投資は管理が楽な反面、ご自身の裁量でマンション全体に手を加えることはできません。
希望を伝えることはできますが、最終的な意思決定は管理組合の合議によりなされます。
管理が悪い場合は、部屋自体は良くてもマンション全体の魅力がなくなり、
空室リスクが高まる恐れがあります。
また、毎月マンションの管理費や修繕積立金を支払わなくてはならないため、
入居者がいない場合は赤字になることもあります。
一棟アパート投資は自由に手を加えられ、まさにご自身が一棟アパートのオーナーとして物件を管理できることが大きな魅力です。
しかし、修繕やリノベーションに多額の費用が必要となること、手間や精神的な負担が大きくなるというデメリットがあります。
初心者は区分マンション投資から始め、知識や経験を積んでから一棟アパート投資にチャレンジするのも良いでしょう。
9.売却価格
不動産投資の多くは家賃収入によって利益を得ますが、売却時のことも考えておきましょう。
一棟アパートと区分マンションでは、どちらが売却時に有利なのでしょうか。
結論から申し上げますと、どちらともいえません。
区分マンションは一部屋だけ売却すれば良いので買い手がつきやすいものの、
周辺の類似物件や同じマンションの価格、空室率によって売却価格がほぼ決まってしまいます。
そのため、ご自身の希望通りの価格で売却できる可能性が低くなります。
一棟アパートは、一棟全部を一度に売却しなくてはならないため、売却額が高くなり買い手がつきづらいというデメリットがあります。
区分マンションにせよ一棟アパートにせよ、購入の段階から買い手がつきやすく値下がりしにくい物件を選ぶことが重要です。
10.土地の活用
一棟アパート投資の場合、土地もご自身の所有であれば、敷地内に自動販売機や駐車場などを自由に設置することができ家賃のほかにも収入を得ることができます。
この土地を活用できるという特徴は、出口戦略(売却時)の際にもメリットになります。
アパートを取り壊した後、駐車場やコインランドリーを経営したり、更地として売却したりするなど、さまざまな選択肢があります。
一方、区分マンション投資の場合は、部屋だけ売却して土地は売却しないという選択肢はなく、一棟アパート投資のように土地を有効活用することはできません。
投資をするうえでの注意点

融資額の上限に注意
不動産投資は物件の購入価格が高額なため、ローンを組んで物件を購入するのが一般的です。
初期費用を安く抑えられるというメリットがありますが、そこで見落としがちなのが融資額には限度があるという点です。
例えば、区分マンション投資から始め、不動産投資に慣れてきたから一棟アパート投資にステップアップしようと考えた際、マンション購入時の借り入れにより、融資枠が足りないという場合もあります。
区分マンション投資から一棟アパート投資にステップアップを考えている場合は、
マンションの売却や、マンションを担保としたローンを組むことも考慮に入れてプランニングを練っておくことが重要です。
投資目的を考慮して選定する
不動産投資を行う際には、必ず投資目的をしっかり定めておきましょう。
もちろん最大の目的は収益を得ることですが「ある程度運用したら売却して利益を確定したい」「細く長く家賃収入を得たい」「手間をかけずに収入を得たい」などできるだけ詳細な目的を設定すると良いです。
目的をしっかり定めておけば、価格や利回りといった表面的な数字に惑わされることなく、ご自身に最も適した物件を選ぶことができます。
リスクを考える
マンションにせよアパートにせよ、不動産投資には「実物資産」だからこそのリスクが伴います。
不動産投資リスクの中でも、空室リスクや資産下落リスク、売却時に買い手が見つからないなどのリスクは立地選びである程度回避することが可能です。
都心や駅に近い便利なエリアはもちろん、これから人気が高まると予想される地方なども選択肢の一つです。
物件を購入する際には物件そのものの確認はもちろんのこと、周囲を歩いてスーパーや病院、学校など人が集まる拠点があるか、雰囲気や治安は良いかといった点もしっかりチェックしましょう。
物件の管理方法や管理会社をしっかり決める
不動産投資の成功の可否は管理会社にあるともいわれています。
好立地で新築の物件を購入できたとしても、管理体制が杜撰なようではすぐに建物が劣化するだけではなく、入居者同士のトラブルや家賃滞納といった問題も起こりえます。
区分マンションの場合はご自身で管理会社を決めることはできませんので、
物件の立地や状態だけではなく、物件を管理する管理会社の実績や能力も考慮に入れて選定しましょう。
一棟アパートの場合はご自身で管理をする(自主管理)か、管理会社に委託(委託管理)するか選ぶことができます。
委託管理を選ぶ場合は、コミュニケーションが円滑にとれる、信頼できる管理会社を選びましょう。
結局どっち?一棟アパート投資 vs. 区分マンション投資

投資用不動産はそれぞれの特徴だけではなく、ご自身がどのように運用を行い、どのように利益を得たいかといった観点も考慮して選定を行わなくてはなりません。
これまでのお話を総括して一棟アパート投資と区分マンション投資、それぞれに向いている人の特徴を列挙すると、以下のようになります。
一棟アパート投資に向いている人
- 不動産投資の知識と経験がある
- 融資限度額が高め、もしくはまとまった自己資金を用意できる
- 大きな利益を得たい
- 不動産管理を主体的に行いたい
区分マンション投資に向いている人
- 初心者
- 融資限度額が低め
- 細く長く利益を得たい
- 不動産管理に手間をかけられない
まとめ
一棟アパート投資と区分マンション投資、2つの異なる性質を持つ投資法と、それぞれの特徴やメリット・デメリットをご紹介しました。
一口に不動産投資といっても立地や物件の種類や構造といった条件により利回りやリスクの高さが異なるため、全ての人に正解といえる投資法はありません。
重要なのは投資目的を明確に定め、それに適した物件を購入することです。
また、管理会社の選定や長期のプランニングをしっかりして、健全な運用を持続させましょう。