オリンピック後、不動産市場はどう変化した?現況と今後の市況予測

投資

オリンピック後、不動産市場は取引が不活発になり価格も下がるというのが一般的な流れです。しかし、今回は通常とは反対に取引量が増え、価格も上昇しています。なぜ上昇しているのか、また、今後はどのように変化すると予想されるのか見ていきましょう。

東京オリンピック後の不動産市場の変化

オリンピックの開催が決まると、通常は建設ラッシュが始まります。インフラ整備も進み、選手や観客に向けた商業施設も至る所に建てられるでしょう。

建設や街づくりに関わる人々も集まるだけでなく、世界からも注目度が高くなり、不動産価格が上昇する傾向にあります。そして、オリンピックが終わると人の波は引き、不動産に対する需要も下がり、それに伴い不動産価格も下がるということが一般的です。実際に、ソウルやバルセロナ、北京などでオリンピックが開催されたときは、閉会後、経済成長率が如実に低下を見せました。

オリンピック特需の恩恵

東京オリンピックは、史上初の無観客開催となりました。そのため、周辺のホテルや飲食店、商業施設などで急激な売れ行き増を見せる、いわゆる「オリンピック特需」の恩恵がないまま終了しています。

オリンピック特需は一時的には経済を活性化させますが、オリンピック終了後には急激な売り上げ減を伴うため、経済の落ち込みを伴う諸刃の剣ともいえるでしょう。今回、オリンピック特需がなかったことで、その反動もなく、安定かつ継続的な経済成長を維持できたとも考えられます。

首都圏の不動産価格は緩やかに上昇

しかし、東京オリンピックはいつものオリンピックとは様子が異なります。開催が1年間延長されたこともあり、経済の波が一過性ではなく定着する動きを見せました。

実際にオリンピック終了後も首都圏の不動産価格は緩やかに上昇し、マンションなどの物件の売れ行きも伸びています。コロナ禍による経済的な不透明感が、不動産という実体のあるものへの投資を後押ししていることも1つの要因と考えられるでしょう。

ロンドンオリンピックと同じ都市型の動き

過去にもオリンピック特需の恩恵が薄く、その分、経済の落ち込みを回避できたオリンピックがありました。2012年のロンドンオリンピックもその一例です。

ロンドンオリンピックでは環境に配慮した都市型のオリンピックを目指し、極力新しい競技場などを作らずにエコロジーを意識したプランを立てたことが知られています。また、従来から都市整備の遅れが指摘されていたロンドン東部に、選手村などのオリンピック後も活用できる施設を集中して建設し、オリンピックとロンドンの都市計画が融合するスタイルを確立しました。

そのため、オリンピック特需はあまりなかったものの、経済活動は安定した成長を見せ、オリンピック終了後も景気の落ち込みを回避することに成功しています。東京オリンピックも結果としてはロンドンオリンピックと同様、緩やかな経済成長を維持した都市型オリンピックの動きであったといえるでしょう。

今後、不動産市場はどう変化する?

東京カンテイのデータ※によれば、東京23区のマンション価格は14ヶ月連続で上昇しました。しかし、まだ東京オリンピック・パラリンピックが閉会して間もないため、オリンピックによる不動産価格への影響も残存していると考えられます。オリンピックの影響下から抜けた後、東京の不動産市場はどう変化するのでしょうか。

※2021年9月21日時点 東京カンテイ市況レポート「2021年8月 東京23区は+0.7%の6,427万円で14ヵ月連続プラス 都心部・周辺部ともに価格上昇も在庫増加で強気の値付けに一服感

取引数はやや減少

オリンピック特需はなかったとはいえ、東京に注目が集まり、マンションなどの不動産のニーズが高まったことは事実です。また、長引くコロナ禍の影響も受け、不動産取引はやや減少するのではないかと見られています。

都市部と地方の格差が拡大

都市部と地方の格差が現在以上に拡大するのではとの見方もあります。コロナ禍によって通勤時の混雑を避ける動きが生じ、郊外で広い住宅を購入するよりも、利便性重視で都心部の集合住宅を選ぶ人も増えてきました。また、緊急事態宣言などにより行動を制限されたことで、近隣に便利な施設が集中する都市の魅力に注目が集まっています。

リモートワーク仕様の住宅ニーズ増大

都市部へと転居する動きもある一方で、リモートワークに対応した企業に勤務している人の中には、ゆとりのある住宅環境を求めて郊外や地方に移住する人も増えてきました。また、都市部・地方に関わらずリモートワーク仕様の住宅へのニーズが増大しています。独立したワークスペースや個室などを求め、リフォームをしたり、より広い住宅に住み替えたりする動きも見られているようです。

2022年問題の影響は?

生産緑地(都市計画に基づき、一定期間農地として活用しなくてはいけない土地)が住宅地に転用され市場に出回り、不動産価格が急落するのではないかという問題を「2022年問題」と呼ぶことがあります。2022年には全国の生産緑地の内80%が期限を迎えるため、かつてから2022年問題として不安視されてきました。

しかし、政府が主導的に対策を実施してきたことなどから、大規模な価格下落は起こらないと考えられています。

まとめ

東京オリンピック後、不動産市場の大幅な下落は起こりませんでした。コロナ禍にあることもあり全体的な不況感はあるものの、不動産市場は緩やかに成長し、安定した成長を見せているといえるでしょう。

しかし、今後、少子高齢化の影響により世帯数は減少すると考えられます。不動産市場も取引数の落ち込みが予想されるため、早めの対策が必要になるでしょう。


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