遺された配偶者の生活を守る「配偶者居住権」~40年ぶりに改正された相続法を税理士が解説

生活

先生!民法の相続法が改正されて、色々な見直しがされているって聞いたのですが。

良くご存じですね!どこでお知りになったのですか?
具体的には昭和55年(1980年)以来、約40年ぶりの見直しとなったんですよ。

雑誌などネットニュースで取り上げられたのを見ました。
「配偶者居住権」というのができたそうですね。

はい。実は配偶者居住権以外にも様々なルールが改正されているのですよ。
今回は、民法改正を取り上げつつ、相続の実務に登場しそうな「配偶者居住権」について解説していきたいと思います。

配偶者居住権とは

配偶者居住権とは、

配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に居住していた場合に,配偶者は, 遺産分割において配偶者居住権を取得することにより,終身又は一定期間,その建物に無償で居住することができるようになります

法務省「相続に関するルールが大きく変わります」

と記載されています。
簡単にいうと、配偶者(相続人)は家主(被相続人)が亡くなった後も家に住み続けることができる権利です。

なぜ、このような法改正が行われたのでしょうか?

改正の経緯

きっかけとなったのは平成25年(2013年)の最高裁判決です。
それまで、非摘出子の相続分は摘出子の相続分の半分でしたが、摘出子と非摘出子の相続分が平等となるという判決がでました。

  • 摘出子・・・法律上の婚姻関係を結んでいる男女の間に生まれた子供のこと
  • 非摘出子・・・法律上の婚姻関係を結んでいない男女の間に生まれた子供のこと

非摘出子が摘出子の権利と平等になったことにより、残された配偶者の生活へ配慮するという観点から法律を見直すべきと問題提起されました。

例えば、非嫡出子の子供が被相続人の妻(配偶者)と仲が悪かった場合、妻は住んでいる家を追い出される可能性がある訳です。

また、昭和55年(1980年)当時と比べると「平均寿命が延びてきた」「高齢者間の再婚が増加傾向」「少子化が進んでいる」など、取り巻く環境は大きく変化しているので、法律が時代とマッチしなくなってきていたことも理由として挙げられます。

事実、最高裁判決が平成25年(2013年)9月2日で出てからの一連の流れは下記の通りです。

  • 平成26年(2014年)1月  法務省内に検討チームを設定
  • 平成27年(2015年)1月  検討チームによる報告書を提出
  • 平成28年(2016年)2月  法務大臣から諮問内容として「高齢化社会の進展や家族の在り方に関する国民意識の変化等の社会情勢に鑑み、配偶者の死亡により残された他方配偶者の生活への配慮等の観点から、相続に関する規律を見直す必要があると思われるので、その要綱を示されたい。」
  • 平成28年(2016年)4月  法制審議会の部会が開かれる
  • 平成30年(2018年)7月  可決成立
    *原則施行日は令和元年(2019年)7月1日としつつ、最も遅い施行日が令和2(2020年)年7月10日となっております

改正の概要としては、

  1. 配偶者居住権等の創設
  2. 遺産分割等に関する見直し
  3. 遺言制度に関する見直し
  4. 遺留分制度に関する見直し
  5. 相続の効力等に関する見直し
  6. 相続人以外の特別寄与権の創設に伴う改正

となっています。
これらの内容をまとめた法務省の冊子がございますので参考までに。

「相続に関するルールが大きく変わります」法務省 >

事例で解説

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税理士法人"新みらい会計"