生命保険料控除は節税対策に効果あり!いくら控除されるのかも検証

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男性が電卓を打つ様子

年末調整や確定申告で生命保険料控除を申告すると、具体的にどのくらい戻ってくるんですか?

控除できる額は、所得税は最大で12万円、住民税は最大で7万円ですが、実際に自分の給与からいくら控除されているのか気になりますよね。

はい、知りたいです! 還付金が数万円戻ってくることもあるので、すごくありがたいんです。

では今回は生命保険料控除やその節税効果、具体的な控除額の例についてご説明します。

生命保険料控除の節税効果はどのくらい?

給与所得者の保険料控除申告書とボールペン

生命保険料控除は、1年間に支払った保険料に応じて、支払う税金が軽減される(つまり節税効果がある)制度です。支払った保険料の一部が契約者の所得から直接控除されます。

控除される金額は、以下の3つの項目に分かれています。

<生命保険料控除の3つの項目>

控除名控除対象となる条件
一般生命保険料控除以下の2つの条件を満たす契約
・生命保険会社などと締結した生命保険契約や死亡保険契約
・保険金などの受取人が本人、配偶者、その他親族(6親等内の血族と3親等内の姻族)
個人年金保険料控除以下の4つの条件を満たす契約
・年金受取人が契約者もしくはその配偶者
・年金受取人が被保険者
・保険料払い込み期間が10年以上
・年金の支払い開始が60歳以上で、支払期間が10年以上
介護医療保険料控除・医療保険、がん保険、介護保障保険などや特約保険料
参考:国税庁 生命保険料控除の対象となる保険契約等

控除金額は「新契約」と「旧契約」で異なる

生命保険料控除は、2012年1月1日以降に契約した「新制度」と、2011年12月31日までに契約した「旧制度」とで控除額が異なります。

【所得税の生命保険料控除額】

<新制度(2012年1月1日以降に契約)>

支払った保険料/年控除額
20,000円以下支払保険料等の全額
20,000円超 40,000円以下支払保険料等×1/2+10,000円
40,000円超 80,000円以下支払保険料等×1/4+20,000円
80,000円超一律40,000円

<旧制度(2011年12月31日までに契約)>

支払った保険料/年控除額
25,000円以下支払保険料等の全額
25,000円超 50,000円以下支払保険料等×1/2+12,500円
50,000円超 100,000円以下支払保険料等×1/4+25,000円
100,000円超一律50,000円

新制度で一般生命保険、個人年金保険、介護医療保険に加入している場合、それぞれ4万円ずつの控除額が適用されれば所得税を最大で12万円が控除されます。

また、住民税も同様に新制度と旧制度で控除額が異なります。

【住民税の生命保険料控除額】

<新制度>

支払った保険料/年控除額
12,000円以下支払保険料等の全額
12,000円超 32,000円以下支払保険料等×1/2+6,000円
32,000円超 56,000円以下支払保険料等×1/4+14,000円
56,000円超一律28,000円

<旧制度>

支払った保険料/年控除額
15,000円以下支払保険料等の全額
15,000円超 40,000円以下支払保険料等×1/2+7,500円
40,000円超 70,000円以下支払保険料等×1/4+17,500円
70,000円超一律35,000円

参照:オリックス生命保険 生命保険料控除制度について

新制度の一般生命保険、個人年金保険、介護医療保険に加入していれば、住民税の所得控除限度額は、それぞれ2万8,000円です。しかし、合計した場合は限度額が7万円となる点に注意しましょう。

いくら控除されるのかをシミュレーションしよう

はさみと半分に切れたTAXの紙

課税所得450万円の方が、一般の生命保険料、個人年金保険料、介護医療保険料をそれぞれ8万円超の保険料を支払っているとします(各保険の契約日は2012年1月1日以降の「新契約」のもの)。

上記の場合、控除限度額である4万円の控除額が適用され、所得税から合計で12万円が控除されることになります。

ここで、「所得税の速算表」をもとに、適用される税率を確認します。

(課税される所得金額は千円未満の端数金額を切り捨てた後の金額です)

<所得税の速算表>

課税される所得金額税率控除額
1,000円 から 1,949,000円まで5%0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円 以上45%4,796,000円

参照:国税庁 所得税の税率

課税所得450万円の方は、税率20%が適用されるため、以下のように計算できます。

12万円×20%=24,000円・・・①

したがって、所得税は2万4,000円が戻ってくることがわかります。

次に住民税の控除額を計算していきましょう。

一般の生命保険、個人年金保険、介護保険はいずれも新契約なので、それぞれ2万8,000ずつが控除され合計7万円が控除対象となります。税率はほぼ一律で10%なので以下のように計算できます。

70,000円×10%=7,000円・・・②

①より所得税が2万4,000円、②より住民税が7,000円で合計3万1,000円が控除されます。

8万円を超えた部分の保険料は節税にならない

一般の生命保険料などで8万円を超える保険料を支払っている人は、超えた部分も申告して節税に活用したいと思うでしょう。

しかし、もし8万円以上の保険料を支払っていた場合でも、控除額は上限4万円と定められているため、超えた分の保険料は節税のために利用することができないのです(新制度適用の場合)。

住民税も同様に、5万6,000円を超える保険料は節税対策には利用することができません。

生命保険料控除の手続きは年末調整や確定申告で行う

確定申告書類と計算機

生命保険料控除の手続きは、会社員の方であれば勤務先で年末調整を受けることがほとんどです。自営業や個人事業主の方は、確定申告の際に申告します。

年末調整

毎年10月から11月にかけて、保険会社から「生命保険料控除証明書」が送付されます。それをもとに勤務先から「給与所得者の保険料控除申告書」という書類が渡されますので、そこに記入します。

提出する際には控除証明書を忘れずに添付しましょう。

確定申告

確定申告で保険料控除を受ける際も、「生命保険料控除証明書」の添付が必要です。確定申告書類とともに原本を提出しましょう。

もし計算方法がわからない場合は、各保険会社で「生命保険料控除計算サポート」サービスを提供していますので利用するのもいいでしょう。

<例>

個人が保険料以外で控除を受けられるもの

個人が生命保険料以外で控除を受けられるものはほかにもありますので、一例をご紹介します。

住宅借入金等特別控除

給与所得以外の所得のない会社員が住宅借入金等特別控除を受ける場合は、初年度は確定申告をしなくてはなりません。住宅を購入・入居した年の翌年1月1日から3月15日までの間に手続きをします。2年目以降は年末調整で申告することができます。その際には以下の必要書類を忘れずに提出してください。

  • 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
  • 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(残高証明書)

また、自営業などで確定申告をする方は、2月16日から3月15日の間の一般の申告と合わせて申告してください。

個人型確定拠出年金(iDeCo)

個人型確定拠出年金(iDeCo)は、所得控除のひとつ「小規模企業共済等掛金控除」の対象になり、その年に支払った掛け金を申告することで節税に役立てることができます。

iDeCoに加入している場合、国民年金基金連合会から「小規模企業共済等掛金払込証明書」が送付されます。

年末調整の場合は、勤務先から渡される「給与所得者の保険料控除申告書」の「小規模企業共済等掛金控除」の「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」と「合計(控除額)」に記入し「小規模企業共済等掛金払込証明書」を添付して提出します。

確定申告の場合は、「確定申告書B」に必要事項を記入し、「小規模企業共済等掛金払込証明書」とともに税務署に提出します。

ふるさと納税

ふるさと納税は、年末調整では申告することができません。確定申告もしくはワンストップ特例制度の手続きが必要です。

ワンストップ特例制度とは、給与所得者がふるさと納税をする場合、1年間の寄付先が5つの自治体までなら確定申告をしなくても寄付金控除を受けられるという制度です。この制度を利用すると、控除額の全額が翌年度の住民税から控除されます。

確定申告をする場合は、各自治体から送付される「寄付金受領証明書」を、本人確認書類と個人番号確認書類とともに提示するかコピーを添付します。

生命保険料は法人の節税対策に役立つのか

法人においても、生命保険料はその全額や一部が損金算入できることから、節税対策として利用できます。具体的には、「逓減定期保険」「長期平準定期保険」「生活障害保障型定期保険」などがあります。

ではどのくらいの節税効果が期待できるのか、具体的に考えてみましょう。

<資本金が1億円以下、年間所得が800万円以下の企業の場合>

【ケースA】収益が1億2,000万円。生命保険料の支払いなし
法人税:1億2,000万円×19.0%(※)=2,280万円
税引き後収益:1億2,000万円-2,280万円=9,720万円

※上記普通法人において法人住民税、法人事業税等は省略した場合の所得税の税率とします。

【ケースB】収益が1億2,000万円。生命保険料4,000万円支払い
収益:1億2,000万円- 4,000万円=8,000万円
法人税:8,000万円×19.0%=1,520万円
税引き後収益:1億2,000万円-1,520万円=1億480万円

ケースAとBを比較すると、生命保険料を支払ったケースBのほうが、760万円多く収益を残すことができます。このように、法人においても生命保険料は節税効果があることがわかります。

参考:https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/corporation/c03.htm

法人保険料の損金算入ルール改正

一つだけ光る電球のイラスト

2019年6月28日に法人税の基本通達が改正され、2019年7月8日以降の保険契約について、損金算入ルールが変更されることになりました。結果として、節税対策に利用するメリットが薄くなったという印象です。概要は以下の通りです。

<生命保険料の損金算入割合>

最高解約返戻率損金取扱い
50%以下全額損金
50%超 70%以下契約期間の40%までは60%損金算入
70%超 85%以下契約期間の40%までは40%損金算入
85%超契約から10年間は「保険料×最高解約返戻率×01」を損金算入

なお、実際の内容は非常に細かくここではご説明しきれないため、簡単にまとめてあることはご了承ください。

参考:国税庁 第3節 保険料等

解約返戻率とは、生命保険を中途解約した際に戻ってくる金額のこといい、以下の式で算出します。

解約返戻率=解約返戻金÷支払った保険料全額×100

100を上回れば支払った保険料よりも解約返戻金が多くもらえることになります。

解約返戻率のピークがポイント

上記の表より、全額損金算入できるのは最高解約返戻率が50%以下のもののみとなり、最高解約返戻率が高くなるほど損金算入できる金額が減少していくことがわかります。つまり、支払った保険料をどこまで損金算入できるかは、解約返戻率のピークがポイントになるということです。

以前は「利益が出たら生命保険に加入して節税対策をとる」ということも行われていましたが、今後はこういった節税対策はあまり期待できないでしょう。

生命保険は長期間で考えることが重要

二人の男性と電卓とノート

個人でも法人でも、生命保険は20年や30年など長期間加入するものです。そのため、支払う保険料を無理のない範囲に設定することが大切です。

また、去年は難なく支払うことができたけれど、今年は支払えないという可能性もあります。保険料の払い込みが難しいときには、契約内容の見直しなどで対応することもできますが、必要な保障を確保しつつ、無理なく支払うことができて、なおかつ節税対策にも効果的な対策をとることがベストです。

保険料の支払いや節税対策は、つい1年単位で考えてしまいがちですが、長期間向かい合うことを前提に検討しましょう。

まとめ

生命保険料は個人であれば年末調整や確定申告で手続きをすることで戻りを受け取ることができます。控除額は最大所得税で12万円、住民税で7万円です。年末調整や確定申告は個人にとって大きな節税対策のひとつなのでしっかりと申告しましょう。

一方、法人は保険料を損金算入することができますが、その割合は解約返戻率によって異なります。改正を受けて以前よりも節税効果が期待できなくなったため、生命保険以外の節税対策を講じる必要が出てくるでしょう。


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