【専門家が詳しく解説】キャッシュレス消費者還元のポイントって税金かかるの?

税金

前回の記事でキャッシュレス決済での還元方法について解説してもらいました!
記事の最後で疑問になった還元分のポイントの税金の適用について教えて欲しいです!!

こんにちは。
はい、今回の記事では還元されるポイントにかかる税金について詳しく解説していきたいと思います。

ポイント・消費者還元と税

キャッシュレス決済を利用することで適用されるサービス同士の還元競争。

このバカにならない還元される金額やポイントに対して、税金はかかるのか気になるところかと思います。
実は、ポイントに対する税制はまだ未整備の段階でして、いろいろ議論されています。

例えば、税務大学校による研究(あえて私論・主張と呼んでもいいかもしれませんが。)によれば、以下の通りです。
難しいので読み飛ばしても構いません。最後にまとめますので。

ポイントの法律関係は、少なくともポイント付与の元になった取引きとは別の何らかの給付を、対価を支払うことなく請求できる権利が付与されたものであると捉えることが適当であり、課税されるべき経済的利益にあたる。

ポイントプログラムの法律関係は贈与契約といえるが、贈与の目的物はポイント保有者の意思表示(請求等)によって初めて確定するという停止条件付贈与契約であり、さらに、請求等によって停止条件が成就するまでは、ポイント付与者に解除権等が与えられているという契約関係といえる。

停止条件付贈与契約であるので、停止条件の成就、すなわち、ポイントが実際に使用された時に贈与契約は効力を生じ、その時点で課税されるべき所得となると考えられる。

所得区分に関しては、多くの場合は法人からの贈与として一時所得となるが、業務に関連して取得したポイントについては事業所得等に、役務提供の対価として獲得したポイントについては雑所得となる。
その結果、所得区分の異なるポイントが合算された後に使用された時、どの所得区分のポイントが使われたかを決定してそれに応じて申告をするというのは困難な場合も多いであろうと思われる。

それでも、一時所得については、一時所得の特別控除額によって、ほとんどの納税者は申告する必要は生じないであろう。
そのため、事業所得等となる場合のポイントの記帳方法が定着すれば、実務上の困難の多くは解消すると思われる。

国税庁「企業が提供するポイントプログラムの加入者(個人)に係る所得税の課税関係について 」

何を言っているのかよくわからないと思いますが、簡単に言えば、

「ポイントにはあまねく課税する、でも50万円の特別控除があるので、最終的には課税しないケースが多い」

ということです。

別の論として、

「ポイント発行は事業者が自発的に行う値引きの一種で、市場経済における取引の一環とみなし、そもそも課税されない」

という考え方もあります。

今年に入って、国税庁がポイントにおける取扱いを公表しました。
折衷案のような取扱いといいますでしょうか。

ざっくりとまとめると、

抽選キャンペーンのように臨時・偶発的に付与されるポイントは課税する、商品購入に対して付与されるポイントは値引きなので課税しない。

国税庁「No.1907 個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱い」



うーん。。。何だかよくわかりませんね。

例えば、

・今なら100人に1000P付与 → 課税 : ポイントにはあまねく課税理論
・100円毎に1P付与 → 非課税 : ポイントは単なる値引き理論

ということでしょうか。

どちらにせよ、【結論】としては、

「個人はポイントに対する税金を基本的には気にしなくてよい、ただし50万円分のポイントを得ている場合は気をつけよう」

ということになるかと思います。

確定申告の際の注意点

しかし個人事業者・法人の場合は、先程の税務大学校の研究の通り、事業に関連して獲得したポイントは経済的利益として雑収入となり、課税されるでしょう。
その場合の消費者還元事業の還元額の処理では、消費税において注意が必要です。

「消費税額計算上の売上とならないキャッシュレス還元(不課税売上)」と「消費者計算上の経費となる一般的な支出(課税仕入れ)」を相殺してしまっては、課税仕入れだけ減ってしまい、損をします。

今、まさに確定申告書を作成中で、ポイント還元分の処理を迷われている事業主の方
特に消費税本則課税の方は、むずかしいことは抜きにして、還元額と経費を相殺せずに計上すれば、若干ですが消費税負担は軽くなります。
具体的な処理方法は国税庁から公表されておりますので、参考にしてください。

国税庁「企業発行ポイントの使用に係る経理処理

細かいことを言えば、ポイント付与・使用や実際の値引きのタイミング等によっては勘定科目が異なることがありますが、詳しくは税理士に相談してみてください。

2020年分の確定申告(2021年3月申告)で気をつけて欲しいことは、事業用クレジットカードでプライベート支出をしないということです。
事業用のクレジットカードをプライベートで使ってキャッシュレス消費者還元を受けた場合は、雑収入として計上する必要はありませんが、実務上、この区分け作業は多分に煩雑で経理担当者泣かせですので、やめた方がいいでしょう。

というより、やめてください(笑)。

還元事業は今年6月までですが、同じようなキャンペーンが民間会社独自で開催されることも今後あるかもしれませんし、そもそも事業とプライベートの混同は税務上よろしくありませんので。

結び

ポイントに対する税制は、むしろこれからの課題と言えるでしょう。

資金の動きで一定額以上のものは、「支払調書」と言って、支払者が相手にいくら支払ったのかを税務署に届け出なければいけない仕組みがあります。
しかし、ポイント付与に関して支払調書の提出義務は現在ありません。税務署側も現状では課税する気はないのでしょう。

ただし、近い将来は、「あの人は、ポイントで生活しているらしい、ずるい!」といった不満が社会で当然のものとなり、不公平感が高まれば、税務署もポイント課税に本腰を入れるのではないでしょうか。
いずれにせよ、社会の発展・複雑化に法整備が追いついていない面白い例だと思います。

これからも専門家として注意深く見守っていきますので、新たな動向がありましたら、またご紹介させて頂きます。

それでは次回もお楽しみに。