不動産投資で住宅ローンを利用するのは違法?老後の不安と不動産投資問題

ローン

ジャッジガベルと家

最近、「住宅ローンからアパートローンへ借り換えたい」という相談が増えています。

そうなんですか。どうしてですか?

事の発端は「老後の不安」です。
不動産業者が主催する不動産投資セミナーに参加し、自分や家族の老後の生活資金に不安を抱いていた相談者は、「将来の年金代わりになるのなら…」という理由で、不動産投資をはじめることにしたそうです。
投資する物件もローンも不動産業者が準備するそうですよ。

なんだか怪しいですね。

相談者は不動産業者に言われるがままに、マンションの1室を購入して不動産投資を始め、その時に申し込んだローンが「住宅ローン」だったそうです。
最近になって知人から「それは違法行為」だと諭され、相談に来られました。今回は、住宅ローンを使った違法な不動産投資問題について解説します。

不動産投資で住宅ローンを使うのは違法な行為

ジャッジガベルを片手に持つスーツを着た男性

住宅ローンは「本人やその家族が居住するための住居購入」を目的とする融資です。

住宅ローンを使って投資用の不動産を購入するということは、ローン申込人(債務者)は金融機関をだまして金銭を借りていることになり、民法上の詐欺(民法96条)や刑事上の詐欺罪(刑法246条)に該当する可能性があります。

このような場合に金融機関側は住宅ローン契約を取り消すことができ、住宅ローン契約がなかった状態に戻すため、貸し付けた金銭の残金一括払いを求めることになります。

不正に至ってしまう経緯は?

コインの上にインヴェストと書かれた積木

なぜこのような不正を行ってしまうのでしょうか。

その理由を考えてみましょう。

最大の理由は「無知」によるもの

「不動産投資に住宅ローンを使ってはいけないことを知らなかった」という人は意外に多いものです。今回の相談者以外にも、今回の記事を読んで「初めて知った」という方も少なくないでしょう。

それほど、投資用のマンションを買うのに住宅ローンを使うことが悪いことだという認識がない人がいるのです。不動産業者が用意してくれた銀行ローンだから、疑うことなく話を進めてしまうのでしょう。

「住宅ローン」のほうが「アパートローン」よりも借りやすい

アパートローンの審査項目は多岐にわたるのですが、住宅ローンとの大きく異なる点のひとつに「年収の審査」があります。

金融機関によって異なりますが、住宅ローンの場合は年収200万円でもローンは組めます。しかし、アパートローンの場合は年収600万円以上など、ある程度の年収が必要です。

金利

住宅ローンの金利はアパートローンの金利より低いです。そのため、より有利な条件でローンを借りたいと考えるのでしょう。

返済期間

アパートローンの返済期間の基本的な考え方は「法定耐用年数」を用います。建物としての税法上の耐用期間を期限として、融資をする考え方です。

例えば、築30年のマンションの購入を検討した場合、法定耐用年数は47年のため、アパートローンだと、融資できる期間はあと17年(47年-30年)ということになりますが、住宅ローンなら35年の融資期間を得られる可能性があります。
返済期間が短いということは、毎月の返済額が高くなることを意味します。家賃収入よりローン返済額の方が多くなってしまっては、投資の意味がありません。

返済月額

「金利」と「返済期間」との組み合わせで算出されるのが「返済月額」ですが、住宅ローンで借りた場合とアパートローンで借りた場合では、毎月の返済額が次のとおりになります。


住宅ローンの場合アパートローンの場合(1)アパートローンの場合(2)
融資額2000万円2000万円2000万円
金利(年利)1.3%3.0%3.0%
返済期間30年17年30年
返済月額①67,120円125,274円84,320円
家賃収入額②94,000円94,000円94,000円
手取り額①−②26,880円▲31,274円9,680円

※手取り額から「マンションの管理費・修繕積立金・火災保険等」の支払いが必要です。

返済期間17年の(1)の場合には、ローン返済のほうが家賃収入よりも毎月4万円多く、投資が成り立ちません。(2)は、仮に住宅ローンと同様に返済期間を30した場合、管理費等を支払うと毎月持ち出しになります。

不正を行ってしまった場合の解決方法

メガネと人が話している様子

それでは次に、現在のコンプライアンスに問題がある状況から正しい姿にすべく、解決策を考えてみましょう。解決方法としては、現在借りている金融機関にお金を返すこと、つまり「残債の一括返済」です。

しかし、年収の何倍ものお金をすぐに用意できる人はそうそういません。そこで、次の内容を検討することとなります。

売却

売却することでローン残債を一括返済できれば、不動産を手放すことができます。
しかし、想像よりも安価でしか売れず、売却時に必要な「現金」が準備できない場合や、不動産を手放したくない場合には次にご紹介する借り換えを検討する必要があるでしょう。

借り換え

現在のローンを返済するための資金を、別の金融機関から借りて返す方法です。

ここでは当然、住宅ローンではなく不動産投資用のローン(アパートローン)を申し込みます。
しかし、アパートローンの融資は審査基準が厳しいため、希望に沿った融資が得られるとは限りません。借り換えが不発に終わった場合、任意売却や自己破産も検討する必要があります。

任意売却

任意売却とは、ローンの返済ができなくなった場合に、売却後も住宅ローンが残ってしまう不動産を金融機関の合意を得て売却する方法です。
金融機関としても、自己破産されてしまうよりは、売却することで少しでも多く返済に充ててもらいたいという意図があります。
一般的な不動産売却ではないため、任意売却に長けた不動産業者に依頼するケースが多いようです。

債務整理

借り換えや売却による返済ができない場合に、債務整理を考えなければなりません。その代表例が自己破産です。自己破産以外にも債務整理の方法はありますが、総じて、弁護士への相談が必要になります。

私がお受けする相談は上記の中では、【2】借り換えが多いです。私は金融庁に登録して「融資媒介」を業としているファイナンシャルプランナーですので、ローンの借り換え相談を多く受けています。
住宅ローンからアパートローンへの借り換えはとても難易度が高いですが、諸条件さえ合えば、できないこともありません。

知識を身につけて、自分で借り換えをすることも現実的にはできるのでしょうか?

住宅ローンからアパートローンへの借り換えを個人がご自身で行うのは、何ら問題ありません。
ただし、第三者が間に入って融資に尽力する行為は「金銭の貸借の媒介」といい、第三者のサポートの有償無償を問わず、金融庁に貸金業登録が必要です。
宅建免許をもった不動産業者であっても貸金業登録がない場合は、貸金業法に抵触すると考えられます。(貸金業法第2条第1項)

気をつけないといけませんね。

登録企業は必ずホームページに「事業者番号」を掲載しています。もしくは金融庁のホームページで検索することが可能です。
ローンの借り換え相談をする際は、要らぬトラブルを避けるためにも、相談先が「金融庁に登録した事業者」か否かを確認してから相談しましょう。


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