「変動金利型 vs. 固定金利型」~住宅ローンはどちらを選ぶべき?シミュレーションで考えてみよう~

ローン

家からふきだす固定金利と変動金利の文字

住宅ローンを組む時、固定金利型と変動金利型のどちらを選ぶか、多くの方が悩むと思います。

そうですよね。返済額が変わらないという点では固定金利型のほうが良さそうですが、金利が下がった時に損をしそうで…。

そうですね。今回は、固定金利型と変動金利型の特徴をご紹介し、金利変動によってそれぞれの金利タイプでの返済額がいくらになるか、シミュレーションをしていきたいと思います。

固定金利型と変動金利型の特徴

家のとLOANと書かれた積み木

まずは、固定金利型と変動金利型の特徴と、メリット·デメリットについて見ていきましょう。

固定金利型

固定金利型を選択すると金利は固定され、完済するまで毎月の返済額は変わりません。

原則として、融資実行時点の金利が適用されますが、まれに借入申し込み時点の金利を選択できるケースもあります。金融機関によって異なりますので、必ず確認しておきましょう。

メリットとしては金利上昇リスクがないこと、月々の返済額が定まるため、長期的な家計管理がしやすいことが挙げられます。

しかし、変動金利型の住宅ローンに比べて利率は高くなる傾向にあります。そのため、完済までの間に大きな金利上昇がなければ、総返済額は金利の低い変動金利型の住宅ローンを選んだ場合に比べ、多く支払うことになります。

つまり、金利の動向によっては「払い過ぎ」てしまう可能性があるということです。

変動金利型

借入期間中、6ヶ月ごとに金利が見直される住宅ローンのことをいいます。6ヶ月ごとに見直される住宅ローンの金利は上がる場合も下がる場合も、また、変わらない場合もあります。

つまり、見直しにより金利が上がってしまった場合は、固定金利型の住宅ローンを選んだほうが正解だったとなる可能性もあります。

固定金利型vs.変動金利型 シミュレーション

家の積木と電卓とグラフ

固定金利型と変動金利型のどちらを選択するかは、金利の動向に大きく影響を受けることになります。

文字で読むよりも、具体例があったほうが分かりやすいと思うので、次の条件を前提にシミュレーションしてみましょう。

【前提】
・ローン金額:4000万円
・ローン期間:35年(繰上げ返済なし)
・返済方式:元利均等返済
・ボーナス返済:なし

上記を前提として、次の5つのケースを比較します。

【A:固定金利型】

【B:変動金利型で金利上昇がない】

【C:変動金利型で金利は緩やかに上昇】

【D:変動金利型で金利が上昇】

【E:変動金利型で金利は上昇するが、下降に転じる】

【A:固定金利型】

金利:1.30%の場合

  1年目~5年目 6年目〜10年目 11年目~15年目 16年目~20年目 21年目~25年目 26年目~30年目 31年目~35年目
金利
1.30%
返済月額
118,592円

返済月額(多い月)118,592
返済月額(低い月)118,592
総支払利息額9,809,006

「固定金利型」なので、毎月の支払額は固定されています。35年先まで返済額が定まっているのは安心ですね。

それではこのAのケースを基準に次の変動金利と比較してみます。

【B:変動金利型】

金利:0.50%で返済がスタートし、金利上昇がない場合


1年目~ 5年目6年目~ 10年目11年目~ 15年目16年目~ 20年目21年目~ 25年目26年目~ 30年目31年目~ 35年目
金利0.500.500.500.500.500.500.50
返済月額103,834103,834103,834103,834103,834103,834103,834

比較(A-B
返済月額(多い月)118,592103,83414,758
返済月額(低い月)118,592103,83414,758
総支払利息額9,809,0063,610,1266,198,880

先ほどご紹介した通り、固定金利型は変動金利型と比較すると利率が高くなる傾向にあります。そのため、変動金利型で借りた住宅ローンの金利が上がらなければ、Bのケースのほうがお得です。

【C:変動金利型】

金利:0.50%で返済がスタートし、金利上昇が「5年毎に0.25%UP」した場合


1年目~ 5年目6年目~ 10年目11年目~ 15年目16年目~ 20年目21年目~ 25年目26年目~ 30年目31年目~ 35年目
金利0.500.751.001.251.501.752.00
返済月額103,834107,684110,985113,698115,785117,212117,947

比較(A-C)
返済月額(多い月)118,592117,947645
返済月額(低い月)118,592103,83414,758
総支払利息額9,809,0067,228,6652,580,341

変動金利型のデメリットは、金利が上昇した場合に返済額が増えてしまうことですが、このように金利上昇が緩やかであれば、金利上昇が起こったとしても、Aのケースよりは「返済月額」も「総支払利息額」も少なくなります。

【D:変動金利型】

金利:0.50%で返済がスタートし、金利上昇が「5年毎に0.50%UP」した場合


1年目~ 5年目6年目~ 10年目11年目~ 15年目16年目~ 20年目21年目~ 25年目26年目~ 30年目31年目~ 35年目
金利0.501.001.502.002.503.003.50
返済月額103,834111,625118,456124,185128,678131,805133,442

比較(A-D
返済月額(多い月)118,592133,44214,850
返済月額(低い月)118,592103,83414,758
総支払利息額9,809,00611,121,4671,312,461

実際には、金利が上がり続けるという事態は想像しにくいですし、金利の上昇がいつ起こり、どれだけの利幅で上がってしまうのかは誰にも分かりません。しかし、Dのケースのように金利が上がってしまった場合は、固定金利型を選んだほうが良かったと言えます。

【E:変動金利型】

金利:0.50%で返済がスタートし、金利変動が「5年毎に0.50%UP」するものの、途中から下がった場合


1年目~ 5年目6年目~ 10年目11年目~ 15年目16年目~ 20年目21年目~ 25年目26年目~ 30年目31年目~ 35年目
金利0.501.001.502.001.501.000.50
返済月額103,834111,625118,456124,185119,792116,874115,408

比較(A-D)
返済月額(多い月)118,592124,1855,593
返済月額(低い月)118,592103,83414,758
総支払利息額9,809,0068,610,4191,198,587

Eのケースは金利が一時的に上昇してしまっていますが、上昇し続けることなくまた下がってきたというケースです。変動金利型の住宅ローンは金利上昇リスクを考えておく必要がありますが、金利が上昇し続けるケースは少なく、時には下がることもあります。

このような試算の場合、変動金利型を選んだほうが「総支払額」はお得だったと言えます。

総支払い利息額の比較

※今回のシミュレーションは金利動向を予測する内容ではなく、あくまでも固定金利との比較の為の試算です。

上記のA~Eの5つのケースの「総支払利息額」を見てみると、金利上昇というリスクがあり、毎月の返済額に増減はあるものの、変動金利型のほうが有利になるケースもあることが分かります。しかし、やはり金利上昇は気になります。

そこで次に、どのような場面で「金利」が動くのかを見ていきましょう。

変動金利型の金利が上がる場面

金融機関によって見直し月は異なりますが、6ヶ月ごとに見直される金利について、某金融機関の商品概要書には次のように記載されています。

「お借入後の金利の見直しは年2回、毎年、4月1日・10月1日の短期プライムレート連動長期貸出金利を基準として行います。その場合、短期プライムレート連動長期貸出金利の変更幅と同じだけ引き上げ、または引き下げをいたします。」

なんだか難しそうですが、「短期プライムレート」というものに影響を受けるということは分かります。短期プライムレートとは、金融機関が優良企業に対して融資を行う際の最優遇貸出金利(プライムレート)のうち、1年以内の短期貸出の金利のことをいいます。

この「短期プライムレート」の変動に影響を与えているのが、日本銀行が決める政策金利です。住宅ローンの金利の動向を考える際には、この政策金利を注目しておくと良いでしょう。

【直近20年間の政策金利推移】

財務省のホームページでは政策金利の推移を見ることができます。
直近20年間では、2006年に0.25%up、2007年に0.25%up、と二度の金利上昇はありました。
2020年11月現在「政策金利に該当する金利は無い」との記載ですが、実質的にはゼロ金利政策が続いているとの認識で良いと思います。

出典:財務省ホームページ

シミュレーションをみて驚きました。固定金利型と変動金利型の違いだけでなく、ケースによって支払う金利の合計金額がこんなにも変わるんですね!

そうなんですよ。次回は、返済期間について解説していきます。


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